久保研究室は,周囲にあふれる微弱な熱エネルギーを電気に変換する研究を行っています.人が暮らす環境にあふれる熱エネルギーを使って発電できるデバイスを実現すれば,そのデバイスは今後社会に10兆個実装されると言われているIoT機器やウェアラブルデバイスの電源として利用できます.究極的な目標は,これまでエネルギー源として考えられていなかった環境をもエネルギー源として活用し,新しいエネルギー創成の概念を構築することです.
メタマテリアルとは、自然界の材料では実現できない光学特性を持つ人工材料です。 メタマテリアルは、これまでの光学の常識では考えられなかった負の屈折率や、光の回折限界を超える超解像を実現するといわれています.当研究室では,メタマテリアルの光制御特性を利用し、光電子デバイスに活用する研究を行っています。高効率光エネルギー変換デバイス、低温廃熱エネルギーの再利用化、超高感度光センサの実現を目指しています。
メタマテリアル熱電変換
均一な温度分布の環境で熱電発電するメタマテリアル熱電変換を世界で初めて実現しました.物体両端の温度差を電位差に変換するゼーベック効果に基づく熱電変換素子は,素子上の温度勾配が消失してしまう,均一な温度分布の環境では熱電発電ができません.そのため,温水中や産業炉内では熱電変換は活用できませんでした.当研究室は熱エネルギーを吸収するメタマテリアルを利用し,均一な温度分布の環境における熱電発電を可能にしました.
メタマテリアルを使って均一な温度分布の環境においても熱電変換を駆動する技術は、サーマルマネッジメント技術の一つであり,この技術は様々な熱制御に展開できます.
R. Nakyama, S. Sohei, T. Tanaka, and W. Kubo*, “Metasurface absorber enhanced thermoelectric conversion”, arXiv:2308.05956. [Link]
T. Asakura, T. Odaka, R. Nakayama, S. Saito, S. Katsumata, T. Tanaka, and W. Kubo* “Metamaterial Thermoelectric Conversion “, arXiv.[Link]
S. Katsumata, T. Tanaka, and W. Kubo* “Metamaterial perfect absorber for intensifying thermal gradient across thermoelectric device”, Optics Express, 29, 16396-16405, 2021. [Link]
光検出器
プラズモニック光熱電変換は光エネルギーをプラズモンの局所的な熱を介して電気に変換するまったく新しい光電変換機構です。プラズモニック光熱電デバイスは光を検出するプラズモン構造体と電気に変換する熱電変換材料によって構成されています。駆動する波長を任意で選択できる光検出・エネルギー変換器です。将来的に、低温廃熱エネルギーの再利用素子、および高感度光検出器へ展開できると期待しています。
M. Horikawa, X. Fang, and W. Kubo* “Metamaterial perfect absorber-enhanced plasmonic photo-thermoelectric conversion”, Applied Physics Express, 13, 082006, 2020.[Link]
K. Miwa, H. Ebihara, X. Fang, W. Kubo* “Photo-thermoelectric Conversion of Plasmonic Nanohole Array”, Applied Sciences, 8, 2681, 2020.[Link]
W. Kubo*, M. Kondo, and K. Miwa, “Quantitative Analysis of the Plasmonic Photo-thermoelectric Phenomenon”, J. Phys. Chem. C, 123, 21670-21675, 2019. [Link]